EducationQualifications 高等教育と学位・資格研究会

中核的専門人材育成のためのグローバル専門人材コンソーシアムH26年度事業報告

事業概要

1.事業の目的・概要
九州各地域の多様な産官学関係者、先行専門分野別コンソーシアム関係者等による産官学コンソーシアムの実質化を図り、①学校段階縦断的、学校種横断的、専門分野横断的な、グロ-バル人材ニーズと必要な諸能力についての平成25年度に引きつづき企業調査を実施し、その結果をふまえて協議を行う。②職域プロジェクトと連携して、国際的通用性をもつ職業・高等教育資格枠組みの可能性を探究する。③双方向統合型国際ネットワークによる学習プログラムを開発する。これらの調査及び開発の成果をもとに、ビジネス・調理・観光・介護等の分野を中心にして④社会人の学び直しを促す多段階の学習モジュール積上げ型プログラムの開発行うことを目的とする。


2.事業の実施意義や必要性について
① 当該分野における人材需要等の状況、それを踏まえた事業の実施意義
 社会経済のグローバル化の促進と、グローバル化に対応できる人材養成として、一部の海外進出企業等の現地派遣トップ人材にとどまらず、国内でグローバル事業展開を進める中小企業等をふくめた分厚い中核的専門人材層のグローバル化が求められる、すなわち、社会全体として、相乗的に拡大する国際場面の拡大に対応できるグローバル専門的人材育成が求められている。
 グローバルな中核的専門人材には、英語等を含む外だけでなく、日本や諸外国の文化・社会への理解や異文化環境への対応のための知識・技能、技術移転・国際ビジネスなど[知財」にかかる知識・技能、日本の強みである生産管理工程などのノウハウなど、多様な能力を組み合わせて獲得していく必要があり、またこれらは、経験によってそれらを活用しうるコンピテンシーとして獲得される必要があり、ワークショップ・インターンシップ・海外派遣等の経験による学習を組合せることが適切である。
 各レベルの中核的専門人材に求められるグローバル化対応のための諸能力は、平成23年度からの「成長分野等における中核的専門人材育成」事業に係る専門各分野における、各人材の能力コンピテンシーのレベルと人材規模ボリューム、それらの育成のための職業教育プログラムについての検討の成果の中にもそれぞれ重要なコンピテンシー要素として、つまり「グローバル」次元だけの専門性による人材ではなく、それぞれの職業専門性を持ち、専門に応じたグローバル要素を確実に備えた人材について示唆されており、それらを総合し、明示的に体系的に検討する必要がある。すなわち、これらをそれぞれの分野・レベルにおける人材養成のための不可欠のモジュールとして、また当該分野・レベルの専門人材やそうした人材を抱える中小企業等が、多様な学び直し機会を活用して能力開発に取り組む社会人の学習を支援するための、グローバル専門人材育成のための単位積み上げ学習型の体系的なモデル開発が必要となっている。

 また、そうした要請は、日本の教育・訓練制度全体として求められている職業資格・教育資格の国際的通用性の拡大への課題でもある。現在の日本の職業・教育資格を相互に比較検討し、日本の生涯学習における職業教育体系の整備についての構想をし、そのための政策課題要素を包括的に吟味していくための政策科学的な検討が不可欠である。その際に、海外において展開する職業教育・高等教育資格枠組みを検討し、学術的な取組に焦点をあてたプログラムと職業的な取組に焦点をあてたプログラムとが相互にどう位置づけられているのか、その位置づけ方とその適用について、評価の平等性、プログラム相互の連続性・浸透性などの関係性、プログラム外でのインフォーマル・ノンフォーマル学習を含めた学習成果を適切に位置づけることで学習者のリカレントな学習とその発展可能性を奨励する方法論、これらの体系性を確立するための連携の枠組みの各観点から検討していくことが必要である(吉本1996「学校教育・職業教育・職業訓練の体系化」、Yoshimoto & Inenaga2010 "Permeability in Japanese Education System"など参照)。

 さらに、こうして職業・資格枠組みを構築する取組は、学術的かつ政策科学的な課題探究を進めることになるだけではなく、グローバル化に応じる実践的な課題として、リカレントな学び直しのための適切な水準(レベル)と学習量(ボリューム)をもったモジュール開発を推進していくことにつながる。リカレント学習の社会ニーズに対して、各段階の教育機関の各分野・レベルにおいて、正規課程の学位プログラムにうまく調和する、正規課程・非正規課程の単位積み上げ型型学習が統合的に展開できるのかどうか、実証していく必要がある。さらに、グローバルな資質育成のための教育方法論として、海外の職業教育機関やその質保証・調査研究機関・団体等と、密接な連携のもとで確かな双方向性をもち、インバウンド・アウトバウンドの統合的な教育のデリバリーを行う先導的なモデル開発が必要となっている。


3.事業の実施体制
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