今日の先進諸国では、経済のグローバル化と高等教育の拡大・多様化が進展しており、高等教育修了人材が高等教育段階でどのような知識・技術・経験を得て、どのように新しい経済社会の必要に応えるコンピテンシーを形成しているのか、そしてどのようにキャリアを形成しているのかが問われています。また、我が国のみならず、多くの国々で高等教育におけるアカウンタビリティーに対する社会的要請が強く提起されるようになっています。そこで、それぞれこうした課題に取り組んできた日欧の高等教育研究者が共同研究を実施することとなり、その一環として共通の枠組みによる卒業生調査を企画し、日本側では表記の「卒業生のキャリアと大学教育の評価に関する日欧調査」(以下では「日欧卒業生調査」と略)を実施することにしました。
本調査では、卒業後5年を経た高等教育修了者を調査し、彼ら彼女らがどのように今日の経済や社会の必要に対応して職業的なキャリアを形成しているのか、また振り返ってみて経験してきた大学教育の内容・方法をどう評価しているのかを明らかにし、それらの調査結果と、関連して実施する企業調査等の結果を総合しながら、それぞれの高等教育の実態と課題を理解し、その向上・充実に資する情報を得ていくことを目的としています。