1. 事業の目的・概要
九州地方の多様な分野の産官学関係者及び、海外教育研究機関等と連携し、
(a)各学校・大学段階、学校・大学、また専門分野横断的にグローバル人材ニーズとそこで必要な知識・能力について、東アジア諸国への海外調査を通じて検討を行うとともに、教育プログラムのグローバル化・国際通用性の向上のための職業・高等教育資格枠組みのあり方を明らかにする。特に、個別成長分野に注目して、
(b)経営・ビジネス(九州大学)、食と栄養・調理(中村調理製菓専門学校)、介護・福祉(敬心学園)、観光(長崎ウエスレヤン大学)のグローバル専門人材の養成や送り出し・受け入れに焦点をあて、日本における学位・資格枠組みの可能性、アジア地域における地域参照枠組みの可能性も各々あわせて検討する。
(c)専門学校の社会人学生を対象に、学習成果のキャリア形成上の意味等を把握し、リカレント学習のニーズと需要、課題の把握に努め、今年度はその成果をまとめる。
2. 事業の実施意義や必要性について
グローバル化に対応可能な人材の養成として、海外進出企業などの現地法人トップ人材の育成から、国内でグローバル事業の展開を行う中小企業などの人材まで、中核的専門人材の一層のグローバル化が求められている状況にある。このグローバルな中核的専門人材には、英語をはじめとした外国語の知識だけではなく、諸外国の文化・社会への理解、異文化環境への対応のための知識・技能や、技術移転など知財に関わる知識・技能、わが国のビジネスの特質理解など、多様な知識・技能を獲得していくことが必要である。
また, このことは日本の教育・訓練制度全体として求められている職業資格・教育資格の国際的通用性という問題とも関連している。現在の日本の職業資格・教育資格の位置づけ方、質保証のあり方を、東アジア諸国(韓国、中国、インド、タイ、インドネシア、マレーシア、フィリピン)における学位資格枠組みおよび地域参照枠組みと比較検討し、日本の生涯学習における職業教育体系の整備について構想し、政策課題を包括的に吟味していくための政策科学的な検討が必要不可欠であると考えられる。
またそのためにも「学位資格枠組み」にかかる理解の共有が課題であり、海外研究機関から有識者(独・職業教育訓練研究センター・主任研究員 イザベル・ル・ムイユール氏など)を国際セミナー(9月16日(水)~17日(木))に招聘し、国家学位資格枠組みおよび地域版参照枠組みについて検討することが必要である。特に経営・ビジネス、食と栄養・調理、介護・福祉、観光など各分野の教育プログラムの開発が、今日の学位・資格枠組みの展開の中にどのように位置づけうるのか、地域参照枠組み国家職業・高等有教育資格枠組みを検討することは、専門分野横断的に国際的に通用する職業教育を開発していくためにきわめて意義である。